貴金属買取店、「金」持ち込み急増 1グラム1万円台、高値更新続く
金相場が上昇する中、中古品買い取り店への金製品持ち込みが急増している。
貴金属販売大手の田中貴金属工業(東京)によると、金の店頭小売価格(税込み)は2023年10月30日に1グラム当たり1万653円に上昇し、過去最高値を更新。10年前と比べて約2倍の水準となっている。中古ブランド品大手コメ兵ホールディングスによると、2023年8月末に1万円を突破して以降、使わずに保管していた品物を持ち込むケースが目立つという。
買取店コメ兵の店舗「KOMEHYO」では、金の値上がりを受け、指輪やネックレスなどを持ち込む客が昨年に比べて約1.4倍に増えた。同社の宝石担当鑑定士は「価格が1万円を超えてから買い取り客が増えた」と話す。客層は50~60代女性が多い。
エンパワー(東京)が運営する買取専門店「大吉」でも、金製品の持ち込み量が昨年に比べて2倍に増加。担当者は「珍しいものを持ち込む客が増えた」と語る。持ち込まれることが少ない大ぶりの金のアクセサリーのほか、金を使用した仏具や眼鏡、金歯の持ち込みもあるという。
中東情勢など世界経済の先行き懸念に加え、円安の進行が金の円建て価格上昇に拍車を掛ける。ブランド品や宝飾品の買い取り店「なんぼや」を展開するバリュエンスホールディングスの担当者は「金製品は経年劣化による価格下落もない」と指摘。「長期的に見ても金価格の上昇傾向は続く」とみている。