リサイクル店で盗品処分 背景に「経営者のモラル頼み」
盗品のブランド品などを買い取ったとして名古屋市西区のリサイクル店の店長ら男2人が逮捕、起訴された。リサイクル店が増え続ける中。業態の特性を踏まえ、大手業者を中心に品物を持ちこむ人の身分確認を徹底しているが、逮捕された2人はあえて確認していなかった。背景には店舗経営者のモラル頼みという現状がある。
愛知県警は2月、盗品と知りながらオメガの腕時計や切手約50枚を買い取ったとして、業者最大手のフランチャイズ店（FC店）の店長（31）と店員（29）を盗品等有償譲り受け容疑で逮捕した。
これらは同県春日井市の民家で盗まれ、窃盗罪で起訴された男（32）が持ち込んでいたという。
県警によると、店長らは腕時計を9000円、切手を計1500円で引き取っていた。古物営業法は買い取り総額が1万円以上の際に持ち込み者の身分確認を義務付けているものの、店長らはしなかった。県警は、盗品ならば安く買い取れると考えたとみている。
その場で不用品を現金化できるリサイクル店は増加している。日本リユース業協会によると、2017年6月時点で加盟20社の店舗総数は4952店と2012年の約1.7倍になった。うち1870店は本部が加盟店に屋号を使う権利を与えて対価を受け取るFC形式。インターネットを利用し個人間で中古品を売買するフリーマーケットアプリが人気だが、協会の担当者は「すぐ換金できる実店舗の手軽さは健在」と話す。
こうした中、業界大手の「ブックオフ」（相模原市）や「ハードオフ」（新潟県新発田市）はFC店を含め、1万円未満の買い取りでも持ち込み者の身分確認を徹底している。ハードオフの担当者は「業態上、盗品が持ち込まれることは十分あり得る」として、犯罪に関わらないため必要な対策だと説明する。
買取り業界では、同種類で大量に持ち込まれたり保証印が無かったりして、盗品と疑われるケースは買い取らないなどの取り組みも進めている。ただ、経営者が開業に必要な都道府県公安委員会の営業許可を得た後は定期検査などがなく、適正に店舗運営されるかは経営者任せの面がある。店長らが逮捕された店が加盟する大手業者の担当者は「年2、3回の研修で身分確認を指導している」と強調した。
愛知県は2017年まで11年連続で侵入盗被害が全国最悪で、2018年も住宅を狙った被害は全国最多。愛知県警の捜査幹部は「盗品を扱って利益を上げる業者は他にもいる」と指摘し、「金額に関わらず身分確認すれば盗品は持ち込まれにくくなるはずだ」と語った。
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