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ROLEX ロレックス
ロレックスは、スイスの腕時計メーカーである。1905年にドイツ人のハンス・ウィルスドルフがロンドンで創業した。現在は「ウォッチ」に分類される腕時計を主たる商品としている(腕時計業界では、腕時計や懐中時計を「ウォッチ」、置時計や壁時計を「クロック」としている)。すべての部品を自社製造しているマニュファクチュールであり、なおかつその大部分でクロノメーター認定を受けている。
20世紀初頭に時計商社としてイギリスで創業したが、当時は時計関税が高額だたため以後スイスに拠点を移し、その過程でメーカー化した。懐中時計が主流であった当時、早くから腕時計の利便性に着目し、別会社である「オイスター社」が開発し、それまでの腕時計と比較して防水性が格段に高い「オイスターケース」を実用化、自動巻き機構「パーペチュアル機構」や日付や午前零時に一瞬で切り替わる「デイトジャスト機構」を発明、腕時計で初めてのクロノメーターの認定を受けた。
主要な製品(時計のモデル)
ドレス系オイスターモデル
バブルバック(Bubble Back)
自動巻きの機械にはローターがある為、最初はかなりの厚さがあり、ぷっくりと泡状に膨らんだ形状の裏蓋を使用して収納しており、その形状からこう呼ばれた。1930年代から1950年代の製品がこれに当てはまり、後には膨らみが小さくなったセミバブル形状になり、1960年代になると消滅した。
カバード
バブルバックのベルト取付け部をカバーしたモデルの俗称。フーデット、スカーデットとも称する。
バイスロイ(Viceroy)
特徴的なケース形状のモデル。
プレシジョン(Precision)
英語で「精密」の意味だが特に高精度の機械を搭載しているわけではない。ロレックスの場合、クロノメーターを取得していないモデルの場合にこの言葉を文字盤に記載する例があった。
エアキング(Air-King)
時針分針秒針の三針式、直径34mm、ノンデイトで最もシンプルなモデル。長らくノンクロノメーターで廉価版モデルの位置づけであったが、現行モデルは全ての製品がクロノメーターの認定を受けている。ペットネームとしては1940年代から続く現在のロレックス最古のモデルで、ケース素材にステンレスを用いている。2016年に40mmの116900が出てくるまでは、同社の製品の中で最も廉価なものであった。
エアキングデイト(Air-King Date)
エアキングにカレンダーを装備したモデル。1950年代後半から1970年代頃まで販売されたが極めて数が少ない。
オイスター・パーペチュアル・デイト
1945年発売。三針式、直径34㎜で、3時の位置に日付のあるモデル。前出のエアキングのデイト付きに相当する。風防に日付を拡大するためのサイクロプスレンズがついている。現行モデルでは全ての製品がクロノメーターの認定を受けている。同様に日付を搭載するデイトジャストとの違いは、本来深夜12時を回ると瞬時に日付が変わる機構を搭載しているか否かによるものであったが、1970年代からはデイトジャストと同様のキャリバーを搭載しているため、両者の違いはケースの大きさだけになった。ケースには主にステンレスが用いられるが、一部に金やプラチナなどの貴金属を用いたモデルがある。
オイスター・パーペチュアル
三針式、直径36mm。日付機能なし。後述のデイトジャストの日付なしモデルに相当する。現行モデルは全ての製品がクロノメーターの認定を受けている。2015年に39mmが登場した。
デイトジャスト(DateJust)
1945年11月発売。午前0時を境に日付が一瞬で替わる「デイトジャスト機能」が有名だが、1957年にCal.1036を搭載するまで日付の瞬間切り替え機能は搭載していなかった。1970年代からオイスター・パーペチュアル・デイトも瞬間切り替えとなり差はなくなっている。ロレックスでは一番販売個数が多いフラッグシップモデルで、ロレックスが考案・もしくは改良した最新機構は優先してこのモデルに搭載されることが多い。防水性に優れたステンレスをくり抜いた「オイスターケース」。自動巻き機構である「パーペチュアル機能」、午前零時に日付が一瞬で替わる「デイトジャスト機能」を同時に搭載した初めての時計。三針式、3時の位置に日付のあるモデルで、直径36mm。ボーイズサイズ(直径31mm)やレディースサイズ(直径26mm)もある。日付部分を約2.5倍の大きさに拡大する「サイクロプスレンズ」が付いており、現行モデルは全製品がクロノメーター認定を受けている。ケースはステンレスの他に、K18WG(ホワイトゴールド)やK18YG(イエローゴールド)、K18PG(ピンクゴールド(ロレックスでは「エバーローズゴールド」と呼んでいる)等の貴金属も多く用いられる。文字盤のバリエーションもバータイプ、ローマ数字タイプ、ダイヤモンド入りタイプなど数多く、近年は花柄の文字盤も制作された。素材と文字盤の組み合わせは百種類以上にも及ぶ。現行Ref.116234他、Cal.3135.また1990年代まではクォーツ式の物も生産されていた(Ref.17013他、Cal.5035)。自動巻き式とはケース(クォーツ式は角ばった形をしている)やブレスレットの形状が異なる。現行モデルではヒゲゼンマイはパラクロム製になっているが、レディースの一部モデルにシリコン製ヒゲゼンマイが搭載されているモデルがある。
デイトジャストⅡ
2009年発売。デイトジャストのケース系を一回り大きい直径41mmとしたモデル。ムーブメントに耐衝撃機構「パラフレックス」を搭載している。
デイデイト(DayDate)
三針式、3時の位置に日付があり、12時の位置に曜日表示があるモデル。直径36㎜。デイト、デイトジャストと同様に日付にはサイクロプスレンズが付いている。ケース及びブレスレットには全て貴金属を用いており、文字盤には宝石が埋め込まれているモデルもあり、ロレックスの製品中で最も高価なプレステージモデルである。デイトジャスト同様、僅かながらクォーツ式のモデルもある(Ref.19018他、Cal.5055)。現行モデルは全ての製品がクロノメーターの認定を受けている。
デイデイトⅡ
デイデイトのケース径を一回り大きい直径41mmとしたモデル。
スカイドゥエラー
GMTマスターⅡの上位機種で、GMT機能の他に年次カレンダーを装備している。ベゼルを回転させることによって時針・分針、GMT、カレンダーの操作を切り替えることができる。デイデイトと同様、貴金属モデルのみの展開。
スポーツ系オイスターモデル
ターノグラフ
元々はデイトジャストのバリエーションの一つで、10分毎の記載のある両方向回転式ベゼルを持ち、現在のスポーツ系ロレックス一連のデザインの原型とも言えるモデル。ターノグラフ以前は「サンダーバート」という名前で呼ばれていた。2013年に製造終了。
エクスプローラⅠ
1953年発売。三針式、日付なし、黒文字盤の同社のスポーツモデルのさきがけとなった製品。初期型はRef.6150。その後REF.1016、Cal.1560、ハック機能付きのRef.1016、Cal.1570に移行し1989年に一旦製造中止となったが、翌1990年にRef.14270、Cal.3000として文字盤のデザインを一新して再発売され、2001年よりRef.114270、Cal.3130に移行し、2010年に現行モデルであるRef.214270、Cal.3132にモデルチェンジされた。直径39mmで、クロノメーター認定取得。エドモンド・ヒラリーのエベレスト初登場時に用いられたとする資料も多いが、実際にその時使用されていたかどうかは定かではない。ヒラリーはその後広告に使われ、このモデルも探検家用モデルとして有名になった。後述する1960年頃の一部のモデルを除き蛍光塗料によって針や文字盤表示が塗られており、暗いところでも時間の確認が容易である。通常のモデルと同じデザインと素材でありながらノンクロノメーターを一回り小さなボーイズサイズケースに収めたモデルも限られた市場向けに少数販売された。
エクスプローラーデイト
1960年ごろ北米市場限定発売。当時のエアキング及びパーペチュアルデイトに酷似したデザインの黒・白・金色文字盤でステンレスやコンビのケースを使用したカレンダー付きモデル。極少数だけ販売され、好事家に幻と言われるほど希少である。ノンクロノメーター。
エクスプローラーⅡ
1971年発売。時針分針秒針24時間針の4針式、3時の位置に日付のあるモデル。初期型はRef.1655、Cal.1575.1988年Ref.16550に、1991年Ref.16570、Cal.3185に、2011年にRef.1655のデザインに倣った最新型のRef.216570、Cal.3187に移行した。直径42ミリ。洞窟探検家用とされ、日光が遮られ昼夜の区別がつかない場所でも24時間針によって昼夜を判断できる。この24時間針は当初は単純に24時間表示をするだけのものだったが、現行モデルは24時間を単独操作することが可能で、第2時間帯を示すことができ、その結果後述の「GMTマスターⅡ」に近い機能を持つようになった。現行モデルは全製品クロノメーター認定を受けている。ラインホルト・メスナーが1980年にエベレスト単独無酸素登頂を達成した時に使われたとする資料が多いが、実際にこの時使われていたのはオイスタークォーツである。
サブマリーナー
1953年発売。三針式、逆回転防止ベゼルを有するモデル。直径40mm。デイト機能付(Ref.116610LN他)とデイト機能なし(Ref.114060)の2つのモデルがあり、日付ありのものにはサイクロプスレンズがついている。素材でもステンレス製、一部に貴金属のゴールドを使ったコンビモデル、オールゴールドモデル(金無垢)などバリエーションも豊富。潜水作業用の時計で防水性能が他のモデルと比べて高く(サブマリーナ以外は大体100m防水)、初期製品はRef.6536、Cal.1030で100m防水であったがその後200mに強化され、現行モデルでは300m防水になっている。その後、ノンデイト・ノンクロノメーターのRef.5513が約25年間製造されるロングセラーとなり、1962年にデイト付のRef.16610、Cal.3135にモデルチェンジして、これも20年以上製造されるロングセラーモデルとなった。2010年に現行モデルとなるRef.116610LN、Cal.3135(パラクロムヒゲゼンマイ搭載型)にモデルチェンジした。逆回転防止ベゼルは逆時計回りにのみ操作可能なベゼルで、潜水作業中に残酸素時間を簡単に測定できるようになっている。現行モデルはノンデイト、デイトともにクロノメーター認定を受けている。ジェームス・ボンドが映画の「007」シリーズの中で愛用していることも有名で、現在のロレックス・スポーツモデルでの一番人気モデルとなっている。
シードゥエラー
1971年発売。サブマリーナーの派生モデルでヘリウムガスを抜くためのバルブがケースの9時位置につき飽和潜水に対応している。初期型は防水性能610mのRef.1665、Cal.1575.直径40mm。三針式で回転ベゼルを有する。日付はあるが破損の危険性を減らすためサイクロプスレンズはついていない。1980年に防水能力が1220mのRef.16600、Cal.3135に移行したが、ディープシーの発売により2008年にいったん生産が打ち切られた。その後、2014年にニューモデル(Ref.116600)として生産再開された。すべての製品がクロノメーター認定を受けている。
ディープシー
2008年発売。シーウェラーの防水性能を強化したモデル。Ref.116660.直径44mm。防水性能は3900m。サイズも大型化された。クロノメーター認定を受けている。デイト機能が搭載されているが、サイクロプスレンズは搭載されていない。2009年「DEEP SEA」表記が商標権侵害に当たると日本の時計メーカーエルジンに提訴され、敗訴。
オイスタークォーツ
1972年発売。1990年代まで販売されたクォーツモデルで、一時は生産の1割を占めていた。ラインホルト・メスナーが1980年にエベレスト単独無酸素登頂を達成した時に使われた。デイトジャストと比べ、角ばって厚みのあるケース形状をしており、ロレックス特有の「フラッシュフィット」を用いないブレスを採用している。
GMTマスター
1954年発売。時針分針秒針24時間針の4針式、昼夜を区別する特徴的な2色または短色の両方向回転ベゼルを有するモデルで、当時世界最大の航空会社であったパンアメリカン航空(PANAM)の協力を得て共同開発された。初期型はRef.6542.3時の位置に日付があり、サイクロプスレンズがついている。全製品クロノメーター認定を受けている。初期モデルのみ5気圧、以降現行モデルまで10気圧防水となっている。メイン時間帯を短針+文字盤、第2時間帯を24時間針+指定した時間帯に合わせてセットした回転ベゼルで同時に表示する。本来は航空用時計として開発され、非公式ながらNASAのアポロ計画の際、一部米軍出身の飛行士の私物として宇宙に行ったり、人類初の音速突破を果たしたパイロット チャック・イェーガー米空軍退役少将が現役当時からずっと愛用しているなど魅力的な逸話は多い。回転ベゼルによりほかの時間帯の時間を容易に読めるため、仕事上時差の問題を抱えることの多い国際線旅客機のパイロットやビジネスマンにも使用されている。赤青ベゼルのモデルを石原裕次郎やチェ・ゲバラが愛用していたのは特に有名である。2000年に生産終了。
GMTマスターⅡ
1983年発売。GMTマスターの短針のみ1時間単位で動かす機能が追加された上位機種で第3の時間帯も容易に管理できるようになった。
コスモグラフ・デイトナ
1961年発売。ロレックス唯一のクロノグラフモデル。これ以前コスモグラフはムーンフェイズ機能を持つモデルの名称であった。「コスモグラフ」という名称が物語る通り、当初はアメリカのアポロ計画の為に開発されたものだが、NASAの選定の際にオメガの「スピードマスター」、ロンジンのクロノグラフモデルとNASA公認腕時計の座を争い、最終的にオメガ・スピードマスターの前に敗れ去ってしまった。その後はカーレース用のモデルとして宣伝された。初期型はRef.6241、Cal.72B。以前はバルジュー(現エタ)の手巻きキャリバー72を改造したキャリバー72Bやキャリバー727を搭載していた。俗称「エキゾチック・ダイヤル」と呼ばれたダイヤルデザインのモデルがポール・ニューマンに愛用され「ポール・ニューマン・モデル」とも呼ばれて1本約1千万円前後という高価格にて取引されている。1988年からゼニスとモバートが共同開発した『エル・プリメロ』を大幅に改造したCal.4030を積み自動巻き化されたRef.16520に、2000年には自社製自動巻キャリバーCal.4130となったRef.116520に移行した。貴金属のゴールドとのコンビモデルや金無垢・プラチナモデル、ダイヤモンド・宝石をちりばめたモデルなど種類は豊富。現行モデルは全ての製品がクロノメーター検定を受けている。タキメーターがベゼルに刻印(現行モデルはプリントされている物もある)とされていることにより、カーレースの初速性能や工場での生産数を計りやすいという特徴を持っている。サーキットであるフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイと関連すると思われるが命名の理由は明らかでない。しかしロレックスは1991年からデイトナ24時間レースのスポンサーとなり、優勝した旨を裏蓋に刻印したデイトナを優勝チームのドライバー3名+補欠1名に提供している。また、2013年からF1の公式時計を開始した関係で、近年はF1と絡めた広告展開を行っている。
ヨットマスター
1992年発売。回転式ベゼルを持ち、サブマリーナーのドレスアップ版としての位置づけを持つモデル。全てのモデルに貴金属ケースや文字盤が採用されているが、防水性能は10気圧防水にとどまる。スポーツ系ロレックスのモデルでは唯一、メンズ、ボーイズ、レディースの3種類の大きさを持つモデル(現在はレディースモデルは製造終了)。
ミルガウス
三針式、日付機能なしで、ケース内に収められた軟鉄製の帯磁ケースでムーブメントを保護しており、1000ガウスの帯磁性能を備えたモデル(ミルガウスの『ミル』はフランス語で「1000」の意味)。初期型は稲妻型の秒針を備えRef.6541、Cal.1066。後に稲妻型の針は通常の直線針に変更され、1980年代末に1度生産が打ち切られたが、2008年に再び稲妻型の針を付けて復活した。
ノンオイスターモデル
プリンス
1920年代から1930年代に販売された角形モデル。ケースは長方形で2ダイヤルを持ち、上ダイヤルが時分を表示し、下ダイヤルが秒を表示するいわゆるドクターズウォッチ。高精度の機械を積んでいる。近年復刻版Ref.5440を販売するが、ムーブメントは新設計のCal.7040を搭載している。現行版はクロノメーター認定取得。
プリンセス
プリンスのレディース版。
チェリーニ
オイスターケースを使わず現行モデルは日常防水の薄型ドレスモデル。
チェリニウム
チェリーニのプラチナケースモデル。
カメレオン
1950年代から1960年代に販売されたベルトを簡単に交換できるレディースウォッチ。非常に小型の手巻きムーブメント「Cal.1400」を搭載。
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